石材店コラム

石材加工とは?さまざまな場面で行われる石材加工の種類やメリットを解説!

住宅の床材や墓石、彫刻、石垣など、石材は今でも多くの場面で用いられています。頑丈な石材は古代から人間社会において用いられ、その利便性は現代でも存分に活かされています。また石材加工には石を切り出す工程から、研磨する工程まで、色々と段階を踏む必要がありますが、それぞれの工程に専門の職人さんがついて熟練の技を今に伝えているのです。今回は、石材加工の種類やメリットを解説していきます。

1.「石材加工」とは

石材加工とはそもそもどういうものなのかをまず簡単に振り返っておきましょう。

石材加工とは、文字通り石を加工することです。自然界にあるさまざまな石、たとえば大理石や花崗岩(御影石)などといったものを自然の状態から切り出してきて、その切り出した石を、用途に応じた形状やサイズにさらに切り分け、目的に応じて研磨や加工を施していきます。

基本的には石材加工というのは以上のように石を加工することを指しますので、その目的や用途は非常に幅広いといえるでしょう。たとえば住宅の床材、エクステリア(石垣など)といった建築に用いられることもあれば、墓石など比較的小さな構造物にも用いられますし、また彫刻など掌サイズから超巨大な構造にまで及ぶ大きさになる多様な表現の素材になったりもします。

2.石材を用いるメリット

それでは、石材を用いるメリットはどういったところにあるのでしょうか。石材のメリットの代表的なものは、押す力に対して強い、つまり圧縮強度に優れているということで、詳しくは割愛しますが要は耐久性に優れた素材であることです。また、耐熱性・耐火性も大きく、耐熱性が最も低い花崗岩でも570℃くらいまでは耐えられます。

また種類が豊富で、好みやデザインの趣向・趣味に合わせて様々な石材が選べるというのも大きなメリットです。自然界には非常に多くの石があり、それをさまざまな形で「生活に取り入れられる」というのが、石材加工の大きなメリットであると同時に、重要な役割ともいえるでしょう。

そして基本的には石というのは重いものであり、見た目もその重みを感じさせるような重厚さがにじみ出ています。そうした特性があることで、見た目からも頑丈そうなイメージや高級感を得られますし、研磨すれば非常に美しい光沢を放ってくれるということも、石材にしかない魅力と言えます。

3.石材加工の種類①:切削・研磨

石材加工にはさまざまな種類がありますが、非常に大まかに分けるとするならば、「石を自然から切り出し、実際に石材として使える大きさや形状に削り、表面を磨く」ものと、そうした基礎的な工程から生まれた素材を「手作業での加工や磨き、彫刻などを施して仕上げる」ものの2種類があります。まずは、前者からご紹介しましょう。

前者のように、山中など自然界にある石を切り出し、切断したり削ったりすることで形を整えていくことを「切削(せっさく)」と呼びます。石材の元となる石を切り出すために、山中などに設けられている場所を「丁場(ちょうば)」といい、この丁場から重機等で切り出された石は、加工場に運ばれていきます。

運び込まれた石は加工場でダイヤモンドカッター等を使って切断されますが、単純に目的となる大きさにカットしていくのではなく、できる限り石材として使用できる場所を多く残すようにカッターを入れていきます。これは非常に慎重な判断を要求されますので、経験豊富な職人でないと、刃を入れる場所を見極めることは難しいです。

こうした工程を経て最終的には立方体に切り出された石の表面を、石材として使えるように磨いていきます。これを「研磨」といい、大きなサイズの石に行うのは機械を使った「自動研磨」です。機械には粗いものから細かいものまで8段階の研磨盤があり、それらを自動で切り替えながら磨かれていきます。そして機械に通せない小さなサイズの石の場合は、職人が手作業で研磨します。

4.石材加工の種類②:手加工・手磨き・彫刻

綺麗な石材ができたら、いよいよ目的に応じて加工を施していきます。これは目的に応じて工法は変わっていくのですが、たとえば水鉢や蓮華台といった細かい意匠が凝らされた石細工の場合は、職人によって手作業で加工が行われます。これは石に図面を書き込み、大まかにカットしていくところからはじまり、そこから図面や指定の大きさ通りに仕上げるために非常に精密な作業が要求され、場合によっては10日以上もかかるのだそう。

また彫刻の場合は、デッサンから始まるなど長い工程を経て制作されます。とくに石仏などの宗教的な石像は美しく仕上げることを求められるので、時間をかけて少しずつ、慎重に彫り進めることが必要です。こうした意匠や彫刻など手作業で加工した細かい部分は、さすがに機械を通して研磨することはできませんので、基本的には手作業で研磨して仕上げていくことになります。

場合によっては何回も研磨を重ね、鏡面加工にする場合もあります。鏡面加工した石は非常に美しいですよ。

5.まとめ

以上、石材加工とは何かから振り返りつつ、石材のメリットと、石材の工法の大まかな種類を解説しました。石材は加工の仕方によって非常にきめ細やかな美しい仕上がりになります。これも大きなメリットであり、魅力でもあります。

石材は古くから用いられてきた素材ですから、先人たちの偉業も含め連綿と受け継がれてきた職人技術の結晶ともいえます。石材加工、とくに切削段階の作業は個人で行うことは非常に難しいですし、プロの職人でないと切削の最適な形というのはなかなか見いだせないものです。

さまざまな石材の加工は、見えないプロの手によって完成されているのです。そうしたことを思いながら、建物や寺社仏閣で用いられている石材をじっくりと眺めてみてはいかがでしょうか。

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